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「…あ、の…。」

「どうしました？」


恥ずかしそうに…でも真っ直ぐに私の方を見上げる椎名さん。
その瞳に、吸い込まれてしまいそうになるのは…何なのだろう。


「…あの時、真帆達が来なかったら…」

「…。」


質問されても、困る…。
私にも分からない。分からないけど…雰囲気、に呑まれた、だけではない…かもしれない。


「キス…してくれましたか…？」


彼女の中で、ずっと引っかかっていたのだろう。
彼女の気持ちを知っておきながら…そういう、期待させるようなことをしてしまったのは、私。

でも…もし、来なかったら…なんて分からない。
あの時の自分は、今の自分には理解が出来ない。


「椎名さんは…どうして欲しかったんですか？」


だから…ズルいかもしれない。卑怯かもしれないけど質問で返す。
ある程度もう、答えが分かっていることを。

…そう、彼女の自分に対する気持ちは、告白されたからある程度分かってしまうのに。
私自身は…彼女への気持ちが、自分でも理解できない。

ただの生徒…とは、言いきれない。
じゃあ、特別か…と言われれば、それも何か違う。

大切な生徒…それを言ったら、多分皆そう。