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もう推しとは言えない *番外編更新中

第15章 それぞれの葛藤 ※先生side



「…っ、キス…して欲しいって言ったら、してくれるんですか…?」


無自覚なんだろうけど…そういう瞳で上目遣いされると、それなりにぐっとくる。
…本当そういうの、あんまりやらない方がいいよ…。

私みたいな悪い男に捕まっても、知らないよ?


「…椎名さんは、生徒ですからな。しませんぞ。」

「…生徒、じゃなかったら…?」


思わず、言葉に詰まる。
彼女が、生徒じゃなければ…か。

いや、でも…ない。
彼女は、まだまだ未来がある高校生だ。そんな彼女に自分が手を出していいわけがない。


「それでもですな。…椎名さん、キスとかそういうのは…ちゃんと、次…本当に好きになった人にしてもらってください。」


(ごめんね…)

例えば、私が九嶋先生くらい若ければ…とか、40歳若ければ、とか…。
そんな、考えても仕方ないことを思うくらいには。

…私にとって、椎名さんはどうでもいい存在ではないってこと。


「…すみません、私…ふふ、自惚れすぎですね、」

「…無理して笑わないでください。大丈夫…ちゃんとあなたにも、良い人が現れますから。」


私なんかよりも、ずっと。
だから…泣かないで。

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