もう推しとは言えない *番外編更新中
第2章 浮気現場
そんな、二人の甘ったるい声が聞こえてきて…足が震える。
いや、睦人、という同じ名前なだけかもしれない…確認するだけ、絶対違うんだから…と苦しい言い訳を自分の中でしながら、そっと教室の中を窓の隙間から見ると。
(っ…)
制服をはだけさせ、肌を重ねてる睦人と亜梨沙という女の子。
確かに、亜梨沙という子の胸は大きい…羨ましいくらいに。
「んっ…気持ちいいっ…」
「ふ…もっと喘げよ。お前は俺の彼女だろ。」
「うんっ…ふふ、嬉しい…。」
幸せそうに笑う亜梨沙という子。
…そんな彼女を愛おしげに見つめる睦人。
何それ、睦人…そんな顔、私見た事ないよ…?
それ以上見てられなくて、私は壁を背にしゃがむ。
帰れないのは…睦人と帰る約束をしてるから。
こんなの見ても帰れない自分が、情けないしバカみたいだけど。
「や、あぁっ…睦人ぉっ…」
「締め付けすぎだ、バカっ…気持ちいい…」
恐る恐る、もう一度覗いてみると…二人はもう、完全に繋がっていて…。
あぁ、浮気相手は私の方だったんだ…と虚しくなる。
睦人の中では完全に…私の方が、遊びで。
当たり前か…私なんて、何の取り柄もないし、むしろ…良い夢を見せてもらってたんだ…。