もう推しとは言えない *番外編更新中
第2章 浮気現場
悔しくて…なのか分からないけど、不意に涙が滲む。
帰ろう…そう思って、立ち上がった時だった。
「…吉岡?お前、まだ…」
廊下の窓の鍵を閉めていたポチが、小声でそう私に声をかけた。
私から…教室の方に視線を向けたポチ。
「はぁっ…睦人ぉっ…そこ、突いてぇっ…」
「あぁ、やるよ…っほら、イけっ…」
「あぁっ…やぁっ…」
生々しい二人の声に…私は何となく居心地悪くなって、ポチから目をそらす。
…何で、ポチはそんな平常心なの?
「…アイツら、学校で何してんの。バカじゃねーのか」
呆れたように言ったポチは…躊躇なく、教室に入っていった。
(え、えぇっ…!?入るの!?)
「…良い度胸してんな、田口。廊下まで聞こえてるぞ?」
「きゃ、きゃあっ…」
「…お前の裸なんか、興味ねーよ。ガキには興奮しないんでね、俺は。」
はんっとバカにしたように鼻で笑ったポチ。
…このままここにいたら、私がここにいることもバレるかな…と思って、私はとりあえず、物陰に隠れる。
ここでも…三人のやり取りは聞こえる。
「…く、九嶋先生。何で、」
「何で?俺はな、今日はめんどいことに日直だから鍵閉めしなきゃなんねーんだよ。」