もう推しとは言えない *番外編更新中
第3章 甘えろよ
はんっと鼻で笑った睦人は…無理やり、私の唇を奪った。
「っ…や、やめてよっ…!」
「欲求不満なんだろ。キスしてやったのに、何が文句あんの?」
「私はっ…睦人が、亜梨沙って子と付き合ってるから、もう別れようって言ってるの。
睦人の価値観には…私の価値観は、合わないよ。」
「は?だったら、お前が合わせろよ。…告白してきたの、そっちだろーが。
…お前のことも抱いてやるよ、ちゃんと。あぁ、何ならこの場で抱いてやろうか?」
話が通じない…!
キッと睦人のことを睨むけど、そんなのが通じる訳もなくて。
睦人は…ニヤリと笑ったまま、私の制服に手をかける。
「嫌っ…やめて!」
「大人しくしてろよ、バカっ…!」
「やだっ…っ、助けてっ…」
ギュッと目をつぶる。
そのとき、脳裏に浮かんだのは…他でもない、ポチのこと…。
_少しくらい、甘えとけ。
助けて…そんな想いが、胸に広がる。
睦人の手が、少しづつボタンを外していった時…。
「…懲りねー男だな、田口。」
「九嶋先生…あなたこそ、俺の彼女に何手ぇ出そうとしてんすか。そっちの方が卑怯ですよね?」
「はぁ?俺は、吉岡を家まで送ってやるってだけだ。」