もう推しとは言えない *番外編更新中
第3章 甘えろよ
その言葉に…睦人は、軽く驚いたようだったけど。でもすぐに…言い返した。
「…俺が送るんで。大体、教師が生徒と帰るってどうなんすか?」
「嫌がってるのに無理やり襲おうとするお前と帰らせるよりはよっぽどマシだと思うけどな。
…吉岡、言えよ。お前はもう、田口の彼女でも言いなりでもないって。」
お前なら大丈夫だ、と…ポチの瞳が私に語りかける。
こんなに可愛い顔しといて…ズルいよ、本当。
頼もしい…って、感じる。
「…睦人。私はもう、睦人の彼女じゃないし…言いなりでもない。睦人は、亜梨沙って子と幸せになって?
私なんていなくても、睦人は良いんでしょ?」
「何、お前…、九嶋先生と付き合ってんのか。」
「そうじゃないよ。ポチは推しだもん!…でも、もう、睦人とは付き合えない…。」
そう、ちゃんと言ったのに。
睦人はまるで…私の話なんか聞こえなかったかのように、平然と言ってのけた。
「…お前は俺の彼女だろ。まぁ、今日はとりあえず先に帰るけど。
…俺にとっては、お前も亜梨沙も俺の女だ。勝手に別れるとか言ってんじゃねーよ。」
(何、それっ…)
あまりにも勝手な言い分に、文句を言うことすら忘れる。