もう推しとは言えない *番外編更新中
第1章 推しと彼氏
「…田口、そういう部員を練習中の間も引き締めていくのもお前の仕事だ。ったく…協調性のねぇチームだなぁ。
吉岡さん、明日はミーティングにしよう。春大会の時のビデオ、持ってきてくれるか?」
「あ、はい、分かりました。うちのチームのだけでも良いですか?」
「うちのと…あと、決勝戦のだけで良い。ありがとな。」
ふっと少し表情を緩ませたポチ。
あぁ、可愛い…女の私より可愛いってズルくない?
そんなことを思いながら、ついポチの笑みを見つめてしまう。
「…とりあえず、解散。明日も朝練あるからな、各々きちんと何をすべきか、考えてこい。」
「はい。」
睦人以外の部員は、皆集まって、帰ろーぜ、と帰っていく。睦人は…そんな様子を、どこか複雑そうに眺めていた。
「…ねぇ、睦人?帰ろ?」
「あぁ。…なぁ、真帆。」
「何?どうしたの?」
グイッと私の手首を掴んで…私の目を見つめる睦人。どう、したんだろ?
「…俺が言ったこと、間違ってたか?」
「間違ってはないよ…でも、言い方があるとは思う。皆、頑張ってるから。」
「頑張るのは当たり前のことだ。試合の中では、結果が求められる。そうだろ?」