もう推しとは言えない *番外編更新中
第5章 花火
「…お前、一人で何百面相してんの?嫌なら振り解いてみせろよ。」
「い、嫌じゃないよっ…。でも、推しと手ぇ繋ぐとか、心臓ぶっ壊れるだけ。」
「…壊れちまえば?お前の場合、影響ねーよ。」
「酷いっ!…もう、そうやって意地悪しか言わない癖治さないと、彼女出来ないよ。」
彼女いるの?なんて…聞けないから。
遠回しに探るように言ってみた。面倒くさい女だな、私。
「…彼女ね。まぁ、今は必要ねーな…俺、好きな女いるし。全く脈無さそうだから困りもんだけど。」
「え、あ…そう、なの?じゃあ、私を誘わない方が良かったんじゃ、」
「それとこれは別だろーが。…俺が誘いたいと思ったからお前を誘った。それだけの話だろ。」
(でも…好きな人、いたんだ)
軽く、ショックかも…しれない。
いつもみたいに、ポチのくせに、って…笑って言えない。
「俺、大判焼き食いてぇ。吉岡、お前は何食いたい?」
「え、私は…チョコバナナとか、」
「了解。…買いに行くぞ。手、離すなよ?」
「え、あっ…ポチっ、」
子供みたいに無邪気に走るポチに、私は必死に着いていく。一応、こっちは浴衣姿で走りにくいんだから、考えてよ…!