もう推しとは言えない *番外編更新中
第5章 花火
「そうだろ?このチョコバナナも美味いな。」
「うん。じゃあ…はい、ありがと。」
「あぁ。…そろそろ、花火も始まるな。」
ゆっくり楽しむぞ、とポチは…ゴロンと横になる。
お前も横になれよ、と…イタズラに私を誘う目。
(くっ…可愛いくせに、)
カッコイイ…とも思わせてくる。そういうところが、ずるい。
間もなくして、花火が打ち上がって…。
「綺麗…」
「だな…」
また、繋がれた手…。
ねぇ、ポチ…好きな人いるくせに、どうしてこうして私の手を繋ぐの?何を思ってる?
ねぇ、やめてよ…そう思うけれど、嫌なわけじゃないの。
ドキドキして…同時に、胸が苦しくなる。
意味が分からないくらい…。
推しに、手を繋いでもらえて、こんなにも幸せなことはないはずなのに、今はそういうのよりも…ドキドキとか、胸が苦しいの方が大きい。
何発も打ち上げられていく花火は、本当に綺麗で。
ポチと見れることは…凄く嬉しいし、幸せ、なのに。
(何で…?)
胸が痛い。
「…おい、体調悪いの?顔色悪いぞ。」
「えっ?あ、いやっ…大丈夫っ…」
「無理すんなよ、バカ。…ん?熱あるわけではねぇんだな…。」