もう推しとは言えない *番外編更新中
第5章 花火
嫌なんじゃなくて、これ以上、ポチといたら…胸が苦しくておかしくなる。
「…ねぇ、どうして、まだ手繋いでるの?」
「離したくねぇから?」
「ふふっ、何それ…。」
「言っただろ。嫌なら振り解けって。
良いか、吉岡。…お前が思ってるよりもな、男なんて欲に忠実なんだよ。だから、嫌ならちゃんと拒絶しろ。
大体…そんな、おめかしされてさ…俺が何も思わないって思った?」
(あれ、何か…絶対、いつもと違う)
ポチの瞳が…明らかに、いつもとは違うそれで。
なのに、目を離せなくて。
「…隙がありすぎんだよ、バカ。俺じゃなかったら、お前は百パー襲われてたな。」
「な、何言って…そんなわけないよ、」
「…あぁ、冗談だ。お前の驚く顔、面白いな。そういう素直な反応、可愛くて良いと思うぞ。」
(び、びっくりしたっ…!)
本気、かと思った…。
もう、本当に心臓に悪い。
「…でも、お前と手を繋いでいたいのは本当。」
「えっ…変態…?」
「散々、俺を可愛いとか言っといて今度は変態扱いかよ。まぁ良いけど…ダメなの?」
「…ダメじゃないよ。てか、その聞き方ずるい。」
ポチの、バカ。
…絶対、分かってるでしょ、私がダメとは言えないって。