もう推しとは言えない *番外編更新中
第5章 花火
「…お前って、清々しいくらいに鈍感だな。」
「へっ?」
「いや…バカで単純だな、って言った。」
「それ、ただの悪口じゃん…。」
「でも俺は、お前のそういうとこ、わりと好きだよ。裏表ねーし、ひたむきだし。」
好きだよ、って…そんな、優しい笑顔で言わないでよ。
可愛いなぁ、って…感想だけじゃなくて、ドキッとしてしまうんだからっ…。
多分今の私は…顔が赤い。
その状態のまま、ポチの方を見つめていると…不意に、後頭部をグッと引き寄せられて…。
「んっ…!?」
(な、何でっ…)
何で私、ポチに…キス、されてるの?
優しく、恋人にするかのような…優しいキス。
温かくて、優しくて…甘くて、蕩けそうになるような、そんなキス。
唇が、離れて…ポチは、特に動揺してる様子もなかった。
「な、何でっ…?」
「…したくなったから。無防備なお前が悪い、ってことにしとけ。
いくら可愛い可愛い言われよーが、俺だってちゃんと男なんだよ。
前も言った気がすっけど…お前のことなんて、襲おうと思えば簡単に襲えるの。分かる?
…こういうの、されたくなかったら、そのはだけた胸元どうにかしとけよ。横になった時、ずれたんだろ、きっと。」