もう推しとは言えない *番外編更新中
第6章 助けて…
…家から一番近いスーパーに立ち寄り、お母さんの好きな丼物を見てまわる。
カツ丼とか、親子丼とか…天丼とか。
ただ、意外と野菜にもうるさいから、サラダも買う。
私は何にしようかなぁ…?
「ね〜、お嬢さん。」
「は、はい…?」
お嬢さん、なんてそんな丁寧な呼び方されてこなかったから、思わず声が裏がえる。
私をお嬢さん、と呼んできたのは…睦人並みにイケメンな男の人だった。ただ、かなりチャラそう。
(あんまり関わんない方がいいかも…)
「この親子丼と牛丼、どっちの方が良いと思う?」
「お好きな方を選べば良いかと…」
「うん、そうなんだけど。君はどう思う?って話。」
なんで私に聞きたがるのか…理解不能だ。
いや、理解する必要もないかもしれない。
「…あの、私急いでるので、すみません。」
「やだな〜、警戒してる?お望み通りのこと、してもいいけどね、俺は。」
「あなたに何も望んでないですし…あの、本当に失礼します。」
早く立ち去ろう、その気持ちで…一旦パン売り場の方に逃げようとすると、ガシッと腕をつかまれた。
物凄く強い力…簡単には振り解けない。
「は、離してくださっ…」