もう推しとは言えない *番外編更新中
第8章 自覚した気持ち
同じ…そのことに、胸がぎゅうっと締め付けられる。
…もう、暑さで私もおかしくなってる。
「同じかぁ…気が合うのかな?」
「かもな。その二種類、まだ残ってたから、残り一つだったら吉岡に譲るよ。」
「えっ、良いの?ありがと。私、数学頑張る。」
ん、と軽くポチは微笑む。
やっぱり、…可愛い。でも、もうなんか…それだけじゃない。
…なんでこんな、ドキドキさせられるのよ、本当。
「…にしても、俺ん家とお前ん家って…超近いよな。」
「ね…何で今まで遭遇したりしなかったんだろ?不思議だよね〜。」
「お前が鈍感なだけで、遭遇してっかもしれないけどな。」
「それはない!だって、推しを見かけたら絶対気付く!」
分かるもん、絶対。
食い気味に言った私を…ポチはやや引いた目で見る。
(あ、引かれた…ショック…)
「…吉岡。ついたぞ。」
「あ、本当だ…ねぇ、今さらだけどさ、生徒の私がポチの家に入っちゃって大丈夫?」
「本当に今さらだな。…問題ねぇよ、仮にあっても俺が解決してやるから。」
余計な心配すんなよ、お前は。とポチは突き放すように言う。
本当に突き放したいのか…気遣わせたくないのか、よく分かんないけど。