もう推しとは言えない *番外編更新中
第8章 自覚した気持ち
「…内積から躓いてんのか?それとも、公式は覚えてるけど使えねぇってこと?」
「…概念がいまいち理解不能。」
「あー…まぁ、そうだな。もう諦めてそういうもんだと受け入れた方が早い。」
「ポチまでそう言うのぉ?」
友達に聞いたら、そういうもんなの、としか言ってくれなかったし…。
ポチは、教えてくれるかなって思ったのに…。
「…ちょっと待ってろ。」
「え?あ、うん…」
ポチは急に立ち上がって、リビングから出ていく。
どこ…行くんだろ?
とりあえず、ポチがいない間も…解説に目を通すけど、やっぱりよく分からない…。
頭を悩ませていると、ポチがアイスと何かプリントを持って戻ってきた。
「…ほら、アイス。食え。」
「ありがと。そのプリントは…?」
「ベクトルについての。…これを少し噛み砕いて説明するから、ちょっと待ってて。アイス食いながら。」
「分かった。」
…持ってきてくれたのは、私が好きだと言ったクッキー&バニラのやつ。
ポチの言葉に甘えて、蓋を開けて食べる。
「美味しい…ありがと、ポチ。」
「うん。」
(甘いなぁ…美味しい…)
何より…真剣な顔したポチが、可愛い。