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イドリスの物語

第3章 イドリスの城

そしてイドリスは初めて年の近い仲間ができた。
今までは兄だけがイドリスと年の近い存在でありよき友でもあった。生家を後にしてからは全く連絡もとっても居なかった。周りはもちろんイドリスよりも歳は遥かに上であり
気軽に話せるような存在は居なかった。

ようやくそういった存在に出会えた様であった。
それはさて置き、イドリスの心は決まった様であった。
「では早速、準備を進めよう」
ヨゼフには客室で待たせているアーサー伯爵の使いのものに
要請に応える旨を伝えさせた。すると城までの道と着いてからの秘密の道を案内致します。使いのものは言った。
そして心から感謝致しますとヨゼフより伝えられた。

相手の者の情報も入る。ちょうど良いと感じたイドリス。
1日で用意しなければならず慌ただしい。
またそもそもの予定も変更が必要だ。
その点はヨゼフがお任せ下さいと引き受けてくれた。
「急いで若い騎士を集めてくれ、報酬は弾む。これからの騎士としての経験も積める絶好の機会だと伝えてくれ」
とヨゼフに伝えた。ヨゼフはかしこまりました。そう言うとすぐさま動き出した。

「明後日の明け方には出発する。アルトにもそう伝えてくれ」そう伝えられたジョシュアは「わかりました‼︎」と威勢よくイドリスの自室を後にした。

「では、使いの者に会うとしよう」イドリスは立ち上がる。

作戦を練るためと状況を詳しく聞くためだ。

イドリスはベンと名乗る男に会うため、客室へ移動した。

男は命懸けでやってきたのだろう。
憔悴しきった表情だった。だが目には力強さがあった。男はなんとしても役目を果たさなければならなかったのであろう。

「イドリス様、アーサー伯爵様の元より使いで参りました。ベンと申します。一刻を争います。是非貴方様のお力をお借りしたいと存じます。
どうかお助けくださいませ。無理なお願いとは承知しています。ですが、どうかお聞きくださいませ。」

ベンと名乗る男は膝まずきイドリスに懇願した。

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