イドリスの物語
第5章 渓谷
登り切る頃、イドリス達は重たい鎧を下ろしたかのようなスッキリとした表情になっていた。
そして目的のアーサー城が姿を現す。
そこはまるで要塞だった。
険しい崖の上に聳え立つ城は誰も決して近づくことを許しはしない。そして人々からも恐れられていた。
ベンは裏道を案内するといい先頭を歩き出した。
「みなさん静かに。敵の見張りがいます。注意してください」
「剣を抜け、構えるんだ、気を抜くなよ」イドリスがそう言うと皆一層顔が引き締まった。
いよいよ始まるのか。どこか落ち着かない緊張感が走る。
その時、荷物に飛んできた矢が当たり馬が思わず前足を高くあげて暴れ出した。
その時一瞬で囲まれていたことに気付くイドリス。
「しまった…マズい」相手はおおよそ15人くらいだろうか…
数はこちらの方が多いようだ。ジョシュアが隙を見計らい相手に突っ込んだ。ジョシュアの得意技の一つだ。
相手がこちらの攻撃に気を取られている隙に一斉に剣を振りかざすイドリス達。無事にみんな無傷でその場を収めた。
だが今の騒動は十分知られたはずだ。
今後はもっと注意が必要となった。
ベンに後どのくらいか尋ねると「あの洞窟が城のある所につながっています。敵の応援が来る前に急いで入りますよ。」
皆は言われた通りに洞窟へ駆け込んだ。
洞窟に無事に駆け込みベンは松明をつけた。
「こちらです。」案内に従いイドリス達は歩き進む。
しばらくでもう一人男が現れた。
ベンと抱き合う男。イドリスに笑顔で手を差し出し「感謝致します、アーサー様がお待ちです。早くこちらへ」
名乗る暇もない男に案内された。
そして塔の一番上に立てこもっているとされるアーサー伯爵は重く閉ざされた扉の向こうに居た。
重たい扉が開いた時に正面にある大きく立派な椅子に
アーサー伯爵が座っていた。
イドリスを見た伯爵はこう言った。
「久しぶりだなイドリスよ。生家を追い出されたお前ならきっとこの話を引き受けると思っていた。まさに読みが当たっていたな。」そう言うと高らかと笑った。
まるで他人事の様に感じられる態度だった。
イドリスは「伯爵、お久しぶりです。
事情は聞いています。最善を尽くします。」
そう言うと伯爵は怒りを露わにした。
「最善だと?貴様‼︎最善ではなく命を賭けろっ‼︎あいつを
必ず殺すんだ‼︎」息飲む若い騎士たち。
そして目的のアーサー城が姿を現す。
そこはまるで要塞だった。
険しい崖の上に聳え立つ城は誰も決して近づくことを許しはしない。そして人々からも恐れられていた。
ベンは裏道を案内するといい先頭を歩き出した。
「みなさん静かに。敵の見張りがいます。注意してください」
「剣を抜け、構えるんだ、気を抜くなよ」イドリスがそう言うと皆一層顔が引き締まった。
いよいよ始まるのか。どこか落ち着かない緊張感が走る。
その時、荷物に飛んできた矢が当たり馬が思わず前足を高くあげて暴れ出した。
その時一瞬で囲まれていたことに気付くイドリス。
「しまった…マズい」相手はおおよそ15人くらいだろうか…
数はこちらの方が多いようだ。ジョシュアが隙を見計らい相手に突っ込んだ。ジョシュアの得意技の一つだ。
相手がこちらの攻撃に気を取られている隙に一斉に剣を振りかざすイドリス達。無事にみんな無傷でその場を収めた。
だが今の騒動は十分知られたはずだ。
今後はもっと注意が必要となった。
ベンに後どのくらいか尋ねると「あの洞窟が城のある所につながっています。敵の応援が来る前に急いで入りますよ。」
皆は言われた通りに洞窟へ駆け込んだ。
洞窟に無事に駆け込みベンは松明をつけた。
「こちらです。」案内に従いイドリス達は歩き進む。
しばらくでもう一人男が現れた。
ベンと抱き合う男。イドリスに笑顔で手を差し出し「感謝致します、アーサー様がお待ちです。早くこちらへ」
名乗る暇もない男に案内された。
そして塔の一番上に立てこもっているとされるアーサー伯爵は重く閉ざされた扉の向こうに居た。
重たい扉が開いた時に正面にある大きく立派な椅子に
アーサー伯爵が座っていた。
イドリスを見た伯爵はこう言った。
「久しぶりだなイドリスよ。生家を追い出されたお前ならきっとこの話を引き受けると思っていた。まさに読みが当たっていたな。」そう言うと高らかと笑った。
まるで他人事の様に感じられる態度だった。
イドリスは「伯爵、お久しぶりです。
事情は聞いています。最善を尽くします。」
そう言うと伯爵は怒りを露わにした。
「最善だと?貴様‼︎最善ではなく命を賭けろっ‼︎あいつを
必ず殺すんだ‼︎」息飲む若い騎士たち。