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イドリスの物語

第2章 三人の騎士

ある闘いでのことだ。
アルトとジョシュアがまだ歩兵だった頃の話。
一方のイドリスは19歳である戦で勝利を上げた。
難しい闘いでの勝利であったため一目置かれつつあった。
二人もまたイドリスが自分達と変わらない年で先陣を切る様子に息を呑んでもいた。
余談だがミカエルが加わるのは次の闘いでの話となる。

それはさておき、この中世のイギリスはキリスト教にまつわる争いが絶えずにいた。
国王となるヘンリーが自らを神と称した影響も大きい。
妃のキャサリンはスペインより遥々嫁いだ身。
スペインとの争いは絶えずにいたがスペインとの戦争で
イドリスは大きな成長を遂げ名声を欲しいままにして来た。イドリスの亡くなった母はスペイン人であった為、イドリスにとっては複雑な戦いではあった。

そしてイギリスはどっちつかずのフランスにもヤキモキしていた。気まぐれなフランスの仕掛けに苛立つイギリス。
その度に大きな犠牲を払う。若い命が多く失われてきた。
国王はもう争いを終わらせたいと考える様になった。
そして、争いは国だけにとどまらずヘンリーの世継ぎにも
及んでいた。ヘンリーには二人の息子がいた。
長子より次子が騎士として優れていた。
病弱で煮え切らない態度の長子はヘンリーを苛立たせ
剣を持たせてもイマイチだった。
スペインがイギリスの南部を攻めた時、長子も出兵したがすぐに負傷し逃げ帰って来た。一方、次子とイドリス率いるマッケン軍は順調に敵領域に攻め行った。無事に勝利を収めた。その戦いがイドリスを英雄へとのし上げた。
だがイドリスの腹心が重傷を負った。
名はジャクソン。ジャックの愛称で親しまれた男だ。
ジャックは左胸を刺され崩れ落ちる。
同時にイドリスにも危険が迫る。
一本の槍がイドリスめがけ飛んで来た。
「もうダメか」その瞬間、剣が槍を跳ね除け
倒れたイドリスを黒い髪の青年が抱き抱え、「こちらです
!!逃げますよ!!」と剣を振るった青年も加わり
イドリスを影につれ出した。
「助かったのか・・・戻るぞ‼︎ジャック、ジャクソンは?助けるんだっ」慌てるイドリス。

「待って下さい、今言ってはダメだ‼︎
貴方まで死んではいけない。貴方はまだ英雄になっていない!!貴方はその資格がある!」
そう言ったのはアルトだった。

「そうです!!着いていきますよ!貴方にです!」
ジョシュアが続け様に言い放った。




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