
恋人は社長令嬢
第7章 金より地位より欲しいモノ
保存状態の問題?
考え込む相模原の目の前で、本は二つに割れた。
「うわっ!!」
本から飛び出してきたのは、紙で作った蛇だ。
ご丁寧に、スプリングまで紙でできている。
横には、春樹の字で。
【びっくりしただろ?おまえは、絶対この本を見ると、思ってんだ~】
「だ、旦那様~」
こんな物を作る暇があったら、仕事して下さいよ~、と、心の中でつぶやく相模原・兄。
相模原は6年前、病気で倒れた父親の代わりに、会社員を辞めて、松森家にやってきた。
それ以来、松森家の1階の奥にある部屋で、寝泊りをしている。
何かあれば、真夜中でも駆けつけられるようにだ。
そして1年前。
春樹の世話を専門にする仕事を、父から譲り受けたのだ。
病床の父から言われた、遺言。
一つは、どんな時でもこの家の事を、一番に考える事。
そしてもう一つは……
