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那々香がそう言った次の瞬間、至は立ち上がった。

「なあ！！」

「キャッ！！」

いつの間にか、至が自分の目の前に、覆いかぶさるようにしている。

「瞬じゃなきゃ、ダメなのか？」

「何を言ってるの？おかしいよ、至。」

「俺じゃあ、那々香の力になれないのか？」

「だから、やめてよ！」

逃げようとする那々香の両腕を、至は強い力で握った。

「痛い！！」

それでも至は、放してはくれない。

「俺だったら、那々香にあんな事、させない。」

「あんな事？」

「大勢の人が見てる前で、土下座なんか……絶対にさせない。」


よっぽど、自分が膝をついて謝った事が、ショックだったのだろうか。

「那々香。おまえは俺の側で、笑ってさえいればいいんだ！」