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恋人は社長令嬢

第2章 秘密の三姉妹

しばらく廊下を歩くと、中からみんなの声が聞こえる。

「また何かやらかしたの?あの子。」

「ん?まあ、ちょっとね……」

「松森さん、いい子なんだけどね。」

そう言って、みんなで笑っている。


「はぁ……」

みんなは、埜々香が社長の娘だという事を知らない。

一度、同じ苗字だよねと、聞かれたけれど、言うか言うまいか迷ってる間に、“そんな事、ないか!“で済まされてしまった。


『世間知らずなところは、お嬢様だけどね~』という言葉を付け加えられて……


自分は、姉の那々香のように、テキパキする感じではないし。

妹の梨々香のように、社交的な感じでもない事は、分かっていた。


だけどここまで自分は、役に立たない人間だったのかと思うと、一気に自信を失くしてしまう。

正直、仕事を辞めたいと、何度も思った。


それでも、まだこの会社にいるのは……

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