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恋人は社長令嬢

第2章 秘密の三姉妹

「これ、落としたよ。」

「すみま……」

振り返った埜々香は、ドキっとする。

「あれ?この前の子だよね。」

「は…はい……」

「最近、あそこには来なくなったけど、泣かなくなったの?」

「えっ!は、はい……」

その人は、埜々香が仕事のミスをした時、非常階段で泣いていたら、励ましてくれたのだ。


「これ、今度の会議の資料?」

「はい……」

「だったら、うちの分、貰っていくよ。」

「はい……」

今だってその人は、埜々香が落とした封筒を、拾ってくれた上に、中身をちらっと見て、埜々香の代わりに持って行ってくれようとしている。



「至~!」

遠くから、その人を呼ぶ声がする。

「あっ、瞬が呼んでる。じゃあね。…えっと……」

「……埜々香です。」

「そうそう、埜々香ちゃん!」

その人は、埜々香の前で指を鳴らした。

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