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老人ホーム

第8章 夜勤 前半

田中は、山田さんのコールに行き、村山には、何だか分からないが、ヤバい秘密を聞かされるらしい。僕は、内心心配で仕方なかった。一体これからどういう展開になるのか、全く分からなかった。

すると、村山が、

「じゃー、白山さん!ちょっと行って来るからよろしくね!」

と言うと、白山は、

「アイヨ〜!」

と言った。村山は、

「じゃー、行こうか!着いて来て!」

と言った。僕は、村山に着いて歩いて行くと、村山は、西棟の手前の倉庫の鍵を開けて中に入ると、そこから外へ出た。そし外を建物沿いに歩いて行くと、一つの部屋の前で止まった。

村山は、小さい声で、

「ここからちょっと覗いて見て!」

と言った。カーテンの隙間から、中が見える。山田さんと田中がしっかり見える。直ぐ目の前だ!ベッドと窓の間に空間がありそこにポータブルトイレがある。

山田さんはベッドに座り、田中が脇を抱えてポータブルトイレに座らせようとしているのが分かる。田中の声も聞こえた。

「ポータブルトイレに座りましょうね!立ちますよ!」

村山は、少し窓から離れたところで、

「さっき、カーテンを多めに開けておいたの!よく見えるでしょ!油断は禁物だけど、向こうからはこちらは真っ暗なはずだから見えないわよ!」

と言った。僕も小さな声で、

「これがどうかしましたか?もしかして、田中さんの介護の仕方が良くないということを見せるためですか?」

と聞くと、村山は、

「まー、見てなさいって!」

と言った。僕は、暫くカーテンの隙間から中を見ていた。

田中は、山田さんを立たせると、

「そのままちょっと立っていてくださいね!」
 
と言って、山田さんのズボンを下げるとポータブルトイレに座らせた。すると、山田さんは、

「ありがとね〜!」

と言った。田中は、

「私はちょっとベッドを直しますからね!」

と言って、ベッドの反対側に回ると、掛布団を直して、また、元の位置へ戻って来て、ベッドを直しながら、

「どうですか?おしっこ出ましたか?」

と聞いた。





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