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老人ホーム

第9章 夜勤 後半

僕は、急いでさっき来たルートを戻って、村山達の所へ行くと、村山は、

「ごめん、さっき通った倉庫の鍵閉めてきた?」

と言うので、僕は、

「閉めてきました。」

と言った。村山は、

「どうだった?」

と聞いた。僕は、

「はい…。ありがとうございました!」

と言うと、村山は、

「5000円で高いと思う?」

と聞いた。僕は、

「安いです!」

と言うと、村山は、

「でしょう!」

と言った。それを聞いた白山が、

「村山さんのだったら、お金もらっても嫌だわよね?」

と言った。すると、村山が、

「私、あなたより美人だと思うわよ!」

と言うと、白山は、

「私の方が若いんだから!男の子は年寄より若い方が良いわよね?」

と僕に聞いた。村山は、

「そんな気の毒な質問しちゃダメよ!可哀想だわ!」

と言った。みんなで笑っているところへ、田中が戻って来て、

「楽しそうね!何の話?」

と、柔らかい笑顔で聞いた。

僕は、ドキっとして田中を見ると、まだ、赤い顔は治まっていなかった。村山が、

「山田さんどうだった?」

と聞くと、田中は、チラッと僕の方を見てから目を反らし、

「いつも通りだった…。」

と言いながら、ショートカットの髪を直す仕草をした。村山は、

「そう!良かったわね!」

と言い、白山も、

「これで今夜も静かに寝てくれるわ!田中さんの時は、よく寝てくれるからありがたいわ…。」

と言った。それを聞いた村山は、

「あら?私のときは寝ないって言うの?」

と言った。白山は、

「そりゃー、田中さんのときよりは、ね〜?」

と、田中に振った。田中は、また僕をチラッと見ると、目を反らし、

「私に聞かれても…。」

と、しおらしく答えた。村山は、

「やだ、田中さんかわいい!どうしたの?」

と聞いた。田中は、僕に聞き取りにくいちいさな声で、

「ちょっと!ここで変なこと言わないで!」

と、村山に言い、続けて、

「そろそろ排泄介助に行かないと…。平林君、行こうか!」

と僕を誘って、排泄介助の準備をするため、廊下に出た。僕は、村山に、

「お金は次に会ったときで良いですか?今、持ってないから!」

と言うと、村山は、

「いつでも良いわよ!白山さんに渡してくれても良いし!」

と言った。


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