狂愛の巣窟〜crossing of love〜
第7章 【あなただけのモノになれたら幸せなのです…】
「もうすぐ終わっちゃう……親父の元へ帰っちゃうでしょ?」
「今までもそうだったじゃない、どうしたの?不安で潰れそう?じゃ、一緒に居ようか?」
「え、良いの?」
「実家に帰って来れば良いじゃない?」
「ちぇっ、親父とも会うのか」
「残念がらないの、亨さんが居たから一颯くんはこの世に生まれてきたんだからね?生まれてきてくれて、ありがとう」
「………うん」
「私と亨さんが出会ったから、一颯くんとも巡り会えたの」
「………うん」
「だから、亨さんに感謝なんだよ?この人の存在を無下にしないで?あなたの大切なお父さんだから」
「………同じ人を愛してても?」
「そうよ?」
「奪い合うことになっても?」
「そうね」
「それに勝てるの?僕は」
「さぁ、どうだろうね………諦めたらそこで終わりになるんだろうけど」
「誰よりも一番に十和子さんを想ってるよ、出会えてからの時間は何事にも代えがたい宝物なんだ、この先もずっと愛し合えないなんて考えられない」
ひと回り以上離れてる私にそこまで熱を上げてくれるのは女として正直嬉しい。
いつまでも続かない、そう思っていたけど終わり方を知らない。
選べない、本当は。
私も、好きだから。
愛する人の血を引いたかけがえのない息子。
戸籍上は親子なのに、私は1人の男として最初から接してた。
取り返しがつかないほど同じように愛してた。
行くつく先なんてわからない。
これからどうするべきなのかも。
無責任だって言われても返す言葉もない。
その場しのぎであっても、私は繋ぎ止めてしまう。
弱い私でごめんなさい。
「私も考えられないよ、ズルくてごめんね……いつもこんなこと言わせてごめん」
「十和子さんは悪くないよ、どうしても僕が諦めつかないだけ……相手が親父でも譲れないんだ」
僕が先に見つけたかったって前にも言ってくれたよね。
先に出会ってたら私は一颯くんと一緒になってたのかな。
どちらにせよ、亨さんと出会った瞬間に堕ちてるって思う私を許してはくれないだろうな。