狂愛の巣窟〜crossing of love〜
第4章 【止まらない欲情に乱れて…】
こんな時に捕まる人と言えば………
鳴り響くインターホンに気怠く出ると「お待たせしました」と定期便のボディークリームを届けてくれた配達員。
彼の名もよく知っている。
「ご苦労さまです」とサインした。
箱を受け取り、用は済んだのに動こうとしない彼に帰りを促す為に私がドアを開けて立った。
「もう、こんなことでしか会えませんか?」
やめてよ、ご近所さんに聞こえちゃうでしょ。
少しだけドアを閉めて小さな声で言った。
「ごめんなさい、今日はやめておきましょう」
「どうしてですか?僕、この為に仕事片付けてきました、配送車で来た訳じゃないです」
そうね、名札もしてない、いつもの格好でもない。
そして、いつもの私ならそっと手を引いて自分のモノにしちゃうのでしょうね。
グイッと手を引っ張られドアが閉まってしまった。
壁ドン状態に耐えきれず顔を背ける。
「聞こえなかった?やめようって言ったの」
「もう僕は用済みなんですか?連絡来なくてどうにかなりそ…っ」
ダメだって言ってるのに聞き分けのない子はこうだよ。
唇を塞ぐのは唇ではなく私の手。
至近距離でどうにかなりそうなのは私なの。
「どうして言う事聞けないの?今の私と一緒に居たらどうなるかわかんないよ?キミのことめちゃくちゃにしちゃうかも……凄いムラムラしてんの、傷付けてしまうからお願い、もう帰って…?」
勢いよく手を退けられた。
「何でそれが傷付けることになるんですか?僕はそれを求めて来たんです、あなたが欲しい……放ったらかしはもう嫌だ……忘れられない、佐倉さんが」
「十和子………十和子って呼んで」
「十和子……さん」
「仕事終わらせて来たの?」
「はい」
「もうどうなっても知らないからね?私を抱きに来たのなら今すぐ帰って、でも………抱かれに来たのなら好きにしちゃうよ?」
「抱かれに……来ました」
「偉いね、和泉くん」
彼の名は、土屋和泉くん。
私が定期便で取り寄せているボディークリームの配達員さん。
何度か関係を持ったけど随分と放置していた。
連絡が来てもスルーしていた。
ようやくタイミングが合ってまた食べちゃう。