雪女
第1章 転校生
だったら目の前の少女の美しさはなんて言ったら良いのだろう。
神秘的? それとも妖美?
少女は、透きとおるような白い顔で、肩に掛からない程度の黒髪を耳にかけ、切れ長の目で僕らをゆっくり見回した。
少女はチョークを掴み、右手を挙げて黒板に名前を書く。
上着の裾が上がり、白い肌が見えた。
ドキッとした僕にむかって、
「鈴木あられと申します。宜しくお願いします」
落ち着いた声。正確な言葉で微笑んだ。
いつかどこかで見たことが――
なんて思っていたら、あとでみんながそう思っていることがわかった。
「俺を見て笑った」「僕を見たんだよ」「私を見て言ったんだからね」
これも伯父から教えて貰ったのだが、ある日本画家が描いた虎の絵がある。
その絵は、どこから見ても虎と自分が向き合っているように見える技巧が施されている。
「きっとあれだぜ」と言ったが誰の耳にも届かない。
それはそうだろう。わざわざ自分の幸福感を壊す必要がどこにある。
では、彼女の目にそんな能力が秘められているのだろうか? 僕の見る霊力とは逆の、見せる力が……。
だとしたら、彼女はどこから来たんだろう。
神秘的? それとも妖美?
少女は、透きとおるような白い顔で、肩に掛からない程度の黒髪を耳にかけ、切れ長の目で僕らをゆっくり見回した。
少女はチョークを掴み、右手を挙げて黒板に名前を書く。
上着の裾が上がり、白い肌が見えた。
ドキッとした僕にむかって、
「鈴木あられと申します。宜しくお願いします」
落ち着いた声。正確な言葉で微笑んだ。
いつかどこかで見たことが――
なんて思っていたら、あとでみんながそう思っていることがわかった。
「俺を見て笑った」「僕を見たんだよ」「私を見て言ったんだからね」
これも伯父から教えて貰ったのだが、ある日本画家が描いた虎の絵がある。
その絵は、どこから見ても虎と自分が向き合っているように見える技巧が施されている。
「きっとあれだぜ」と言ったが誰の耳にも届かない。
それはそうだろう。わざわざ自分の幸福感を壊す必要がどこにある。
では、彼女の目にそんな能力が秘められているのだろうか? 僕の見る霊力とは逆の、見せる力が……。
だとしたら、彼女はどこから来たんだろう。