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「えっ、そ、そんなことないよ、たださ、同じクラスなのにあまり話したことないなって……　もしかして……　わたしを嫌っているのかなぁ……　なんて少し気になっただけ、特に彼が気になるとかではないのよ」
　すると、エミリは一瞬考えた後、突然、周囲をキョロキョロと見回した。
「ねぇー、畑野くーん、ちょっと来てくれる」
　エミリは大きな声を張り上げ教室の離れた場所にいた浩志を呼んだ。
「えっ？　あなた、止めなさいよ」
「いいから、いいから、本人と直接話せばいいじゃん、行動派の恵美らしくないよ、彼、いいやつだし」
　エミリのところへ浩志が歩いてきた。
「畑野くんが口もきいてくれないって恵美がすねてるから友だちになってあげて……　ねぇ？」
「おおっ、う、うそぉー？　もちろん、オッケーさ」
　不安げな顔で近づいた浩志は、エミリの依頼に驚いたが、直ぐに笑顔になった。彼は友だちになることを快く了承した。恵美は持つべきは友とエミリに感謝した。浩志にどうやって近づこうとうだうだ悩んでいたが、こんなに簡単に彼と友だちになれるとは予想していなかった。いや、恵美は今までそうやって学園生活を送ってきたからこそ周囲に友だちがたくさんいて学園一の人気者になっていた。
　それなのに、逆に、恵美は浩志とだけ、友だちになっていなかった、ことに気付いた。恵美は浩志に対し特別な理由があって浩志を避けてきたのだろうか、と自分に問い掛ける。彼女はそんな疑問を一瞬抱いたが、すぐに、浩志の次の言葉でその疑念は消え去った。
「田所さん、ご、ごめんなさい……　君があまりにもまぶしすぎて、近づくと緊張して……　近づけなかっただけだから……　きみを嫌ったりとか……　そういうことは絶対ないから、むしろ……田所さんが……　好きかもしれない……？」