幸せな報復
第19章 畑野浩志の観察
一連の怪しい行動に不安を感じながら恵美は彼の後を気付かれないよう歩いた。周囲から見れば完全なるストーカーと言える恵美の行動である。彼のことを知りたい一心の彼女にはそんなことに気付く余裕はなかった。怪しい行動に自分を恥じるどころか、浩志のせいにする最低の女になっていた。
「彼、わたしにこんな尾行なんてさせて。彼も父親と同じだわ。私を馬鹿にしているわ。今に見てなさい…… 親子揃って必ず自分に目を向けさせてやるから……」
己の異常行動を正当化しながら親子に悪態をはいた恵美は、その後、浩志と同じ研究室に入り、彼を自分の色気で虜にさせる計画に着手した。気を引こうとしてなるべく彼のそばに接近した。父親が痴漢男なのだから、息子もわたしに何かしら理由を付けて行動するに違いない、と彼女は見込んでいた。
しかし、彼は初めて会ったとき、大学のマドンナと呼ばれる自分を前にして緊張すると言っていたが、本当に押し黙ったままでいた。彼女はわざと彼を見つめたりしアイコンタクトを試みたが、彼は後ろに何かあるのかと体をねじってそっぽを向いた。彼は父親のように性欲旺盛な男ではないことを知り意外だった。
「あんたのお父さんはわたしにエッチを散々したけだものよ。でも、息子に性欲の遺伝子を分け与えなかったの?」
男としの反応がない浩志に恵美はがっかりした。
「まあ、いいわ。あの父親の子だもの、きっと同類でけだものに違いないわ。そのうち、本性をさらけ出すに決まってる」
息子は遅咲きの肉食系に違いない。あくまでも息子は痴漢男に近づくための道具と思った方がいいか。恵美はターゲットは勘太郎にしぼろう、と割り切った。
研究室で共同研究することになって何度も浩志と会って会話するようになったある日。浩志と机を同じくしても対面で距離を取っているときは気が付かなかったが、彼の隣に座ったときだ。恵美は心臓が速く脈打ち興奮してしまう自分の体の反応に戸惑った。今まで大抵の男はそばに来ると嫌悪した。まして痴漢が体を触ってこようものなら即座に手首をつかみねじり上げた。お決まりのように痴漢男を現行犯として逮捕し警察に突き出した。
「彼、わたしにこんな尾行なんてさせて。彼も父親と同じだわ。私を馬鹿にしているわ。今に見てなさい…… 親子揃って必ず自分に目を向けさせてやるから……」
己の異常行動を正当化しながら親子に悪態をはいた恵美は、その後、浩志と同じ研究室に入り、彼を自分の色気で虜にさせる計画に着手した。気を引こうとしてなるべく彼のそばに接近した。父親が痴漢男なのだから、息子もわたしに何かしら理由を付けて行動するに違いない、と彼女は見込んでいた。
しかし、彼は初めて会ったとき、大学のマドンナと呼ばれる自分を前にして緊張すると言っていたが、本当に押し黙ったままでいた。彼女はわざと彼を見つめたりしアイコンタクトを試みたが、彼は後ろに何かあるのかと体をねじってそっぽを向いた。彼は父親のように性欲旺盛な男ではないことを知り意外だった。
「あんたのお父さんはわたしにエッチを散々したけだものよ。でも、息子に性欲の遺伝子を分け与えなかったの?」
男としの反応がない浩志に恵美はがっかりした。
「まあ、いいわ。あの父親の子だもの、きっと同類でけだものに違いないわ。そのうち、本性をさらけ出すに決まってる」
息子は遅咲きの肉食系に違いない。あくまでも息子は痴漢男に近づくための道具と思った方がいいか。恵美はターゲットは勘太郎にしぼろう、と割り切った。
研究室で共同研究することになって何度も浩志と会って会話するようになったある日。浩志と机を同じくしても対面で距離を取っているときは気が付かなかったが、彼の隣に座ったときだ。恵美は心臓が速く脈打ち興奮してしまう自分の体の反応に戸惑った。今まで大抵の男はそばに来ると嫌悪した。まして痴漢が体を触ってこようものなら即座に手首をつかみねじり上げた。お決まりのように痴漢男を現行犯として逮捕し警察に突き出した。