幸せな報復
第19章 畑野浩志の観察
そういう痴漢男嫌いの体質のせいで男がそばに寄ると嫌悪した。それなのに彼は違った。彼の隣で彼の体臭を吸った途端、次は大きくその匂いを吸い込もうと深く息を吸っていた。
「あぁーこの体臭、何なの? どうしたっていうの、わたし? たまらないわぁ」
浩志の匂いに驚いた恵美は、浩志がよそを向いたとき、怪しまれないようにして彼の肩口に顔を近づけ深く息を吸い込んでいた。
「やっぱり…… これ…… いいぃ…… ああ、たまらないわ……」
彼女は男の体を嫌悪していた体質のはずなのに浩志のそばに上半身を傾けていた。
「この香りではないから今まで男を毛嫌いしていたの? この匂い…… 最高よ…… この匂い…… もぅ だ、だめ……」
彼女は浩志の隣でしあわせな未来を想像した。うれしくて、逆に匂いがかげなくなったらと思うと不安が膨らんだ。そうならないために、彼女は彼に夏休みの間は二人で研究をしている想像をした。
「ねえ、畑野くん、夏休みもいっしょに研究をしましょうね。あたしの家はどうかしら…… ね? あなたの匂いを心置きなく吸えるし、最高でしょう?」
恵美は浩志の体臭の虜になっていた。彼女はこんなにも必死になっている自分が恥ずかしくて顔を真っ赤にした。そんな恥ずかしさで一杯のはずなのに性懲りもなく浩志の匂いを吸っていた。
「ふわぁー やっぱぁ…… これ…… 最高…… い…… いいぃ-」
感極まった彼女は、今まで頭の中でつぶやいていた心の声をうっかり口に出してしまった。すると、ノートに筆記していた浩志はペンを休め、恵美に顔を向けた。
「え? どうしたの? 何がいいの?」
彼女は香りだけでこんなに幸せになれるなんてすごい、と思いながら、うっとりと浩志の横顔を見つめ幸福感に満たされていた。恵美は浩志の声で現実世界に戻された。
「あっ えっ? えーーー そうねぇー」
彼女の頭は幸せな時間から一転し、首を傾げた浩志を前にどう取り繕うか考え始めた。彼の体臭をかいで陶酔していたなんてことが彼に知られたら関係は終わりだ。これから待っているであろうたっぷりの幸せが遠のいてしまう。
「あぁーこの体臭、何なの? どうしたっていうの、わたし? たまらないわぁ」
浩志の匂いに驚いた恵美は、浩志がよそを向いたとき、怪しまれないようにして彼の肩口に顔を近づけ深く息を吸い込んでいた。
「やっぱり…… これ…… いいぃ…… ああ、たまらないわ……」
彼女は男の体を嫌悪していた体質のはずなのに浩志のそばに上半身を傾けていた。
「この香りではないから今まで男を毛嫌いしていたの? この匂い…… 最高よ…… この匂い…… もぅ だ、だめ……」
彼女は浩志の隣でしあわせな未来を想像した。うれしくて、逆に匂いがかげなくなったらと思うと不安が膨らんだ。そうならないために、彼女は彼に夏休みの間は二人で研究をしている想像をした。
「ねえ、畑野くん、夏休みもいっしょに研究をしましょうね。あたしの家はどうかしら…… ね? あなたの匂いを心置きなく吸えるし、最高でしょう?」
恵美は浩志の体臭の虜になっていた。彼女はこんなにも必死になっている自分が恥ずかしくて顔を真っ赤にした。そんな恥ずかしさで一杯のはずなのに性懲りもなく浩志の匂いを吸っていた。
「ふわぁー やっぱぁ…… これ…… 最高…… い…… いいぃ-」
感極まった彼女は、今まで頭の中でつぶやいていた心の声をうっかり口に出してしまった。すると、ノートに筆記していた浩志はペンを休め、恵美に顔を向けた。
「え? どうしたの? 何がいいの?」
彼女は香りだけでこんなに幸せになれるなんてすごい、と思いながら、うっとりと浩志の横顔を見つめ幸福感に満たされていた。恵美は浩志の声で現実世界に戻された。
「あっ えっ? えーーー そうねぇー」
彼女の頭は幸せな時間から一転し、首を傾げた浩志を前にどう取り繕うか考え始めた。彼の体臭をかいで陶酔していたなんてことが彼に知られたら関係は終わりだ。これから待っているであろうたっぷりの幸せが遠のいてしまう。