
幸せな報復
第25章 御手洗貞子
沢子は貞子にけだもの族の存在を話し、彼らに助けを求めなかった。後日、沢子から理由を聞いて仕方ないと思った。
貞子たち家族五人は男一人を捕獲するため人間界にやってきた。それが、海星に返り討ちに会い四人が殺された。
けだもの族は掟通りに男をけだもの族のエリアに連れてこなければ掟破りになるのだ。
「わたしは頼る仲間はだれもいないの… もう、この子だけ」
貞子は、沢子が我が娘を抱きしめながら話してくれたことを昨日のことのように思い出した。そうは言っても、同じけだもの族なのだから助けを求めても良かったはずだ。
貞子は、七年前のあのカウンターの中で、宗男がどんな顔つきをしていたか、と思い出していた。
彼は相変わらず、何事もなかったかのようにグラスを磨いていた。
誕生日を覚えていたことも。
昨夜の騒ぎのあとでも、妙に落ち着いていることも違和感があった。
多分、沢子がけだもの族に助けを求めなかったことは掟を完遂できなかったことをリーダーとして恥じていたからに違いない。宗男はそれを知っていたのだから沢子にけだもの族に助けを求めるよう助言するべきだった。助言すらしていない。
いくつもの小さな疑問が、貞子の中でつながり始めていた。
(宗男……あなたは、本当に沢子さんを助けるつもりだったの?)
貞子たち家族五人は男一人を捕獲するため人間界にやってきた。それが、海星に返り討ちに会い四人が殺された。
けだもの族は掟通りに男をけだもの族のエリアに連れてこなければ掟破りになるのだ。
「わたしは頼る仲間はだれもいないの… もう、この子だけ」
貞子は、沢子が我が娘を抱きしめながら話してくれたことを昨日のことのように思い出した。そうは言っても、同じけだもの族なのだから助けを求めても良かったはずだ。
貞子は、七年前のあのカウンターの中で、宗男がどんな顔つきをしていたか、と思い出していた。
彼は相変わらず、何事もなかったかのようにグラスを磨いていた。
誕生日を覚えていたことも。
昨夜の騒ぎのあとでも、妙に落ち着いていることも違和感があった。
多分、沢子がけだもの族に助けを求めなかったことは掟を完遂できなかったことをリーダーとして恥じていたからに違いない。宗男はそれを知っていたのだから沢子にけだもの族に助けを求めるよう助言するべきだった。助言すらしていない。
いくつもの小さな疑問が、貞子の中でつながり始めていた。
(宗男……あなたは、本当に沢子さんを助けるつもりだったの?)

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