
幸せな報復
第8章 卒業研究
浩志と研究室の指導教授・町屋の面接の日が回ってきた。浩志は研究室を訪れ研究のテーマを伝え、研究最終発表までの計画を話した。3ヶ月後、6ヶ月後、9ヶ月後、経過報告の発表会まで、研究の進め方を伝え、教授からアドバイスを受けていく方向性、研究計画を伝えカウンセリングが終了した。研究生と教授の初顔合わせから1週間が経過し、初の研究報告会が開催された。各個人の研究テーマを発表する日である。
同じ研究テーマであればグループになることも、そのテーマに賛同し共同することも可能だ。個が集まりグループになれば大きな成果も期待できることもあり、町屋教授はテーマを個別に発表させ目指す方向性が同じなら共同研究を進めた。教授は3人寄れば文殊の知恵の格言を上げた。さらに、「わたしたちは一人では生きていけない。助け合うことで大きな成果が生まれることをDNAが記憶してきたのです。食物の発見です。人は稲を作る方法を見つけた。小さな米粒は腹の足しにはなりません。しかし、米粒をたくさん作れば飢えることがない生活を築いたのです。そして服です。針を発明し縫い合わせることが可能になった。洞穴生活から家を作った。きみたちも先人に続いてください。その一歩はこれからです。では、始めましょう」と教授は言うと、個別の研究テーマの発表が始まった。発表者はテーマの理念を需要、社会貢献、発展性などを取り入れて発表していく。
浩志は高齢者が安心して単身でも終末を迎えられる自由度のある間取り、その都度、身体の状況に対応した医療を受けられる設備を考慮した間取りなど自由にデザインできる住宅デザインを考えた。
彼は「終の住まいを可能にする住宅」をテーマに選んだ。衣、食、住、医を考えた未来の家のモデルをデザインする、という発表だ。
何番目か後に田所恵美の順番になった。
「前に発表された畑野さんのテーマがあたしの考えているテーマとほぼ同じなんです。ただ、あたしの場合、衣、食、住、医だけではなく、「触」、触れるというものも加えて考えます。少子化対策が世間で言われていますが、その性の本質である人間の生殖を意識した住宅です。つまり、衣、食、住、医、触を取り入れた住宅です」
同じ研究テーマであればグループになることも、そのテーマに賛同し共同することも可能だ。個が集まりグループになれば大きな成果も期待できることもあり、町屋教授はテーマを個別に発表させ目指す方向性が同じなら共同研究を進めた。教授は3人寄れば文殊の知恵の格言を上げた。さらに、「わたしたちは一人では生きていけない。助け合うことで大きな成果が生まれることをDNAが記憶してきたのです。食物の発見です。人は稲を作る方法を見つけた。小さな米粒は腹の足しにはなりません。しかし、米粒をたくさん作れば飢えることがない生活を築いたのです。そして服です。針を発明し縫い合わせることが可能になった。洞穴生活から家を作った。きみたちも先人に続いてください。その一歩はこれからです。では、始めましょう」と教授は言うと、個別の研究テーマの発表が始まった。発表者はテーマの理念を需要、社会貢献、発展性などを取り入れて発表していく。
浩志は高齢者が安心して単身でも終末を迎えられる自由度のある間取り、その都度、身体の状況に対応した医療を受けられる設備を考慮した間取りなど自由にデザインできる住宅デザインを考えた。
彼は「終の住まいを可能にする住宅」をテーマに選んだ。衣、食、住、医を考えた未来の家のモデルをデザインする、という発表だ。
何番目か後に田所恵美の順番になった。
「前に発表された畑野さんのテーマがあたしの考えているテーマとほぼ同じなんです。ただ、あたしの場合、衣、食、住、医だけではなく、「触」、触れるというものも加えて考えます。少子化対策が世間で言われていますが、その性の本質である人間の生殖を意識した住宅です。つまり、衣、食、住、医、触を取り入れた住宅です」
