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「お父さん、大丈夫ですよ……　たった指1本だけをなめたりかんだりするだけですから……　これを繰り返すと、痛みも快感になり永遠に快さを感じられる獣族の雄になれるのですよ」
　勘太郎は手を恵美に握られたまま振り払う力も残っていない。恵美の力が強いだけではない。勘太郎は恵美の魅力に引き込まれもっと恵美に快感を与えてもらいたい、と願うようになっていた。彼は交互に押し寄せる快感と苦痛の連続に対し、幾ばくかの良心がまだ彼にも残っていて消えゆく人間の魂を取り戻させようとあがいていた。
「ううっ……　恵美さん、もう、止めてくれないか……　浩志、こんなになって……　すまない……　許してくれ……　あぇつ、ううううぅーーーー」
　勘太郎は苦痛によりくぐもった悲鳴を上げながら、その後に怒濤のごとく押し寄せてくる快感に歓喜の雄叫びを恥ずかしくもなく恵美に向かってあえぎもだえた姿をさらした。
「まあー　お父さん、何をおっしゃるのですか、全然、そんなこと言ってはだめです。わたしがこれからこれを毎日繰り返して刺激することでお父さんの体を改良して差し上げるのですよ。今は激痛で正気に戻ってしまっても、努力し鍛錬することでこの痛みが心地よい快感へと誘導してくれます……　素敵で幸せな日常生活が直ぐ目の前まで来ているのです。その生活をつかんだとき、お父さんは昔に戻れるの……　かつて経験した幸せな日常生活です……　そうそれはわたしが今しているこの献身的な奉仕があってこそ可能なのです……　わたしの大好きなお父さんは幸せな生活を手にすると同時、勇ましい獣族の雄になれますことよ……　　わたしはその日常を想像しただけで体の芯が熱くなってまいりました……　さあ、思い出してください……　お父さん、20年前、仁美さんはそんな獣の雄のお父さんを求めた。仁美さんは獣のお父さんと幸せな毎日を過ごした。わたしはそんな獣になったお父さんといればもっと好きになって幸せになれる……　だから、わたしはお父さんが獣になったことでうれしいし、人間のままの浩志さんを交互に見ながら日常生活を送っていくの……　こんな幸せをかみしめることになるのよ、すごいわ」