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幸せな報復

第15章 接近する恵美

「うぅっーうう、ふぅ…… 恵美さん、だめだよ…… 痛いーーーいいーーよーー…… ああぁー…… うぅうぅうーー…… いいーーー いいー」
 何十分、何時間、経ったろうか。勘太郎は恵美によって片手の指を順番に1本ずつなめたりかまれたりされた。ただ、それだけなのに官能と痛みが繰り返し彼を交互に襲ってきた。彼の脳は恵美から繰り出される指1本だけの性技に翻弄され正気を失って横たわっていた。恵美は脱力してしまった勘太郎の手を彼の体の脇に静かにそろえて置いた。肌掛け布団を勘太郎の首まで引き上げたとき、勘太郎のまぶたが少しだけ反応したが目は閉じられたままだった。
「きょうはリハビリ初日でしたががんばりましたね。お父さんは思ったとおりとっても野蛮で粗野な狼男になれそうですね? さすが仁美さんが見初めた方です。これからもこの調子でわたしと仲良くリハビリしてくださいね。獣に完全復活されましたら…… そのときは…… わたし、お父さんからのお礼がたくさんほしいです。わたしが言うのも何ですがとっても欲張り屋さんですから…… これから少しずつ過去の獣の記憶と獣の雄としての蛮行を思い出してくださいね。
 仁美さんにしていたような荒らげた異常をわたしにも存分に与えてください。だから、一日も早く獣に変身できるようしっかりリハビリしましょうね…… わたし、とっても楽しみです」
 そう言ってから立ち上がった恵美はその場でまぶたを閉じたままの勘太郎を見下ろしてから唇を近づけ重ねた。
「お父さん、これからのわたしの若いエネルギーをお父さんの体と心にたっぷり注いで差し上げます。獣パワーを得られた高揚感と異常生活での幸せをたっぷり感じてくださいね。くどいようですが、狼に戻った暁にはわたしへの返礼を忘れないでくださいね、お願いですよ……」
 これまでの恵美の行動は勘太郎に自分の妖艶な全身を彼に分かるように目に焼き付けさせたかった。痴漢をした女をその気にさせておいて逃げた男を恵美は許さなかった。あれだけ自分を気持ちよくさせておいて次はしてくれないなど、決して許せなかった。その逃げた男への報復をするための準備を重ねてきたがようやく今日報われた。

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