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幸せな報復

第17章 双子誕生

 海星は倒れた女を一人ずつ確認していく。
「チッ この最後の女以外、死んだか」
 海星は沢子の髪の毛を片手でつかみ上げると外灯にかざし顔を眺めた。
「ほぉー いい女だ、体は鍛えているらしいし犯しがいがありそうだ」
 海星は舌なめずりをすると、沢子の髪を握ると体を引きずりながら前に進んだ。
 小椋海星はずば抜けて強靱な体躯をしておりけだもの族で鍛えられた5人の女が挑んだが一撃のもと倒された。海星は息をしていたリーダー・沢子を屋敷に連れ帰った。
 海星は沢子を丸裸にし、性処理器として屋敷の牢の中に監禁した。海星はけだもの族の屈強な彼女を力でねじ伏せ、毎日慰み者にした。奥座敷に幽閉された沢子の腹が徐々に大きくなり、やがて懐妊の日が来た。
「けだもの族の女は女しか生まないとはな、それも一人だけしか生めないなんて面白い体だ。俺を毎日楽しましてくれていたがしばらくは無理なようだ。しかし、新しい性処理器を生んでくれるようだし、おまえは用済みになるな」
 海星は沢子の出産に立会い、第1子が生まれるところをにやけながら見ていた。取り上げた産婆が赤ん坊を抱えて海星に見せた。
「だんなさま……おめでとうございます。美しい女子でございます、 おや? これは?」
 産婆はそばに立っていた下女に取り上げたばかりの赤ん坊を託すと、沢子の広げた両またをのぞき込んだ。
「海星さま、これはめでたい、双子でございます」
 しばらくすると産婆は第2子目を両手で取り上げて海星の前に掲げた。
「なんと、申し上げたらよろしいものか…… これまた可愛らしい女子で……」
「なんと双子と…… 一人しか産めない女のはずなのに…… なんたる醜態…… これはなんたること」
 将来、愛情という遺伝子を開花する仁美と、けだもの族すら恐れる邪心そのものである義美が生まれた。海星という怪物に犯され続けた沢子の体質が進化した結果である。つまり、突然変異だ。彼女たちは他者を犯すことはあっても犯されることはなかった。沢子の心身は壊れた。壊れたことが進化の始まりだった。

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