テキストサイズ

クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜

第2章 旧市街地の戦い


少女とジェイムズの2機のジムⅢを乗せたベース・ジャバーは海面スレスレを滑空しながら沖へ出る


途中、友軍機のベース・ジャバーも合流し、3機編成、ジムⅢ6機の小隊となる


上空から敵機の影


モビルスーツと航空機が融合したかのようなシルエット、フリューゲル部隊だ


「上から来るぞッ! 各機、散開!」


上官らしき年配者の低い声が聞こえ、3機のベース・ジャバーは3方向へ広がった


目的の対象物、未知の巨大な飛翔体は見えない

どうやらトルコ陸路から飛んできたようだ



敵機の数は無数のように思える

手元のディスプレイに、敵と認識した赤いマークは10機以上カーソルが付いていく
少女は手慣れたように自動照準を解除していく
これだけの数を相手にするなら自動照準は危険だ
目の前を狙うつもりなのに機械が勝手に違うターゲットをロックしてしまうかもしれない

かといって相手を固定してしまうと、ふいに現れた敵に対応出来なくなってしまう

少女は機械による自動照準より、自分の技術のほうが上だという確信があるのだ



隣のジェイムズから通信が入る


「空での迎撃にモビルスーツは不利だ!
 海の上では降りることも出来ない、
 こちらに不利な戦場より少しでも優位な場所に移動しよう!」


ジェイムズの判断は間違っていない

いつまでもベース・ジャバーに乗って飛んていると狙い撃ちされるだけだ
敵のフリューゲルは飛行に特化した機体なのだから



「逃げ回ってると思わせて、そのまま旧市街地に誘い込もう、友軍に先まわりさせるよう連絡して!」


少女の言葉は文字に変換されジェイムズ機で読み上げられた


「了解だ! 地上に残っているモビルスーツ部隊に連絡する! 俺達は少しの間時間稼ぎしよう!」



2機を乗せたベース・ジャバーは敵との距離をとりながら、申し訳程度の弾幕を張って敵の急接近を回避した


最接近してきた2機のフリューゲルが距離を詰めてくる


そのとき合図もなく少女はジムⅢをベース・ジャバーから離脱させた!



「ラーズッ!? どこへ行く気だッ!
 落ちたら海だぞッ!?」


ジェイムズの悲痛な叫びが少女の耳に届いた



ストーリーメニュー

TOPTOPへ