
クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜
第2章 旧市街地の戦い
ビュウゥゥゥゥム!!
数発のビーム・ライフルの光りの条が何本も見えた
「うわっ!いつの間にッ!?」
ジェイムズは飛んで行ってしまったラーズ機を追えなくなり態勢を立て直す
もう目の前まで敵のフリューゲル数機が迫ってきていた
そのとき、ラーズ機のジムⅢが全推進力を使って一直線に上昇していく姿が見えた
敵の機体と交錯する!
敵はライフルとバルカンで弾幕を張ったがジムⅢは気にもとめることなく接近してくる
フリューゲルは接近戦を覚悟してビームサーベルを抜いたがジムⅢはその太刀筋を見極めてひらりとかわすと、なんとフリューゲルの機体そのものを足場にして蹴りつけた!
蹴られたほうのフリューゲルはバランスを崩したところを至近距離でライフルによって撃ち抜かれた
ジムⅢはその蹴り飛ばした勢いのまま再び背中のスラスターを噴かせ、急上昇していく
上空でも同じように、敵の機体を踏み台にするかのように踏み付けた勢いのまま上昇して、眼下の敵を射抜いていった
下から見上げていたジェイムズは呆気にとられていた
「あ、あの野郎…、いつの間にあんな芸当を?
飛べないモビルスーツが空中戦をしてやがるぜ?」
ジェイムズもベース・ジャバーを急上昇させるとラーズ機を取り囲もうとする敵軍を牽制して弾幕を張り巡らせていった
ラーズが操縦していると思い込んでいるが、まさかコックピットには見知らぬ小さな女の子が乗り込んでいるとは夢にも思わないだろう
少女はラーズの機体を勝手に乗りこなし、3機目4機目と段々と上昇しながら撃破していった
そして、ようやく遠くにアンノウンと表示される未知の飛翔物体が目視できる位置にまで辿り着いた
少女はそこまで昇りつめると眼をぎゅうっとつむり意識を集中する
「なにかの意思が感じられる…!
わたしたちと同じような意識があの中にある
お前は何者なのッ!?」
少女は半分わかっていた
わたしたち10人の姉妹とは別に、似たような意識があの中にある
あれは〈わたしたち〉なのか
だが、そこまで上昇したものの踏み台となる敵機が見当たらずジムⅢは燃料が続かず、途中で落下を始めてしまった
