クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜
第10章 ムーンブレイド
マリナは手首を縛られコックピットまで連れてこられた
“ここは……操縦席なのか?”
そこはコックピットというには広い空間だった
真ん中にメインシート、左右にサブシートがあり3席の複座コックピットになっている
まるで小さな戦艦のブリッジのようだ
ジェフリーはマリナをシートに座らせるとシートの背もたれごとキツくロープで結びつけていく
「いま立て込んでいるんだ、おとなしくしておいてくれ? キアラ、どうだ?動くのか?」
マリナが横に目をやると中央のメインシートにキアラと呼ばれた女の子が座り込んでいた
“子どもに操縦させるつもりなのかッ!?
この男、バカなのかッ!?”
「ジェフリー、さっき軽く動かしてみけたでしょう? これはわたしのマシーンなのよッ?」
キアラはけらけらと笑いながら素早い動きでタッチパネルを次々と操作していく
「おいッ!そこの男ッ!どうなっているんだ
お前が逃亡者じゃないのかッ!?
なぜ子どもにやらせているっ??」
ジェフリーは中央のキアラのメインシートを挟んで反対側のシートに腰掛けていた
「まぁ……、フツーそう思うよな?
アンタの判断は間違っちゃいねェ、その理解不能みたいな素っ頓狂な顔もな?
俺だってようやく慣れてきたんだ」
ジェフリーは両腕を頭の上の方にあげて背を伸ばしていた
まるでやることが無さそうだと言わんばかりに
脚も目の前のコンソールの上に投げ出している
彼は何もする気が無さそうだ
「ジェフリー、そしてそこのお姉さん?
とにかくジャマだけはしないでッ!
ようやくわたしのお楽しみが始まるんだから」
隣の席の子どもはニヤリと不敵な笑みを浮かべている
本当に楽しそうな表情なのだ
これは男に脅されてやっているのではなさそうだ
逆に男の方は子どものお守りを任されたものの不貞腐れているかのようだ
“この子ども、さっきわたしのマシーンと言っていたぞ? この女の子もしかして強化人間か?”
戦時中、人工的に作られた戦うためだけの子どもたち
話しを聞いたことがあったが遭遇するのは初めてだつた
「お前たちは一体なんなんだッ!?」
マリナは一方的に吠えた
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