クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜
第11章 眠り姫
ハルフォードとオーウェンたちモビルスーツ部隊は山あいがダイナマイトで崩落した現場にかけつけた
あたりには火薬の臭い、焼けただれた臭い、そして肉が焼けた臭いが漂っている
トルコ軍の地上部隊は鉱山から敵の生存者を救出活動しており、近くにはシートが敷かれ生きているのが死んでいるのか無数の敵兵が横たわっている
ハルフォードとオーウェンのもとにひとりの兵士が近づく
「大佐、少尉、こちらです」
男の案内で崩落した現場の少し離れた谷あいまで移動する
川と滝、そして雪の断崖絶壁に阻まれこれ以上は前に進めなさそうだ
滝のほとんどは凍結しており、溶け出した水がかろうじて川となって流れ出している
「あちらです」
男が指差した滝の近くの突き出た岩
岩の下に何なら銀色に光る場所が見える
だが下からではそれが何なんのか確認できそうもない
「大佐、わたしがモビルスーツを一機持ってきます」
「いや、私も行こう」
いちど鉱山の救助地に戻ると2人はスノー・ディアスに乗り込んで再度崖の方へ向かう
「大佐はあれがなにかご存じなのですか?」
「まだ、わからん……、だがこのあたりはアララト山の近くだろう?
案外、ノアの方舟が出てくるかもしれんぞ?」
オーウェンは死の番人と呼ばれる男が冗談を言うのを初めて聞いた
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