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クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜

第11章 眠り姫


崖を這い上がっていく2機のモビルスーツというのは滑稽な光景だ


ハルフォードが先行して崖を登っていき、後ろからオーウェン機がバランスを崩さぬよう押さえている


「ど、どうですかッ!?大佐!!
 これ以上は我々ごと滝壺に落ちますよ?」


「そうだな、あまりにも足場が悪すぎる、
 だからこそ誰にも見つからなかったのだ」


ハルフォード機が諦めて登坂を中断しようとしたとき、足場の岩がモビルスーツの重さに耐えきれず崩れ始めた


「くっ!?」


「大佐ッ!!」


オーウェンのコックピットのディスプレイにはゆっくりとスローモーションのように崖から落ちていくハルフォード機の姿を捉えていた


とっさにオーウェン機が腕を伸ばし、ギリギリのところでハルフォード機のスノー・ディアスを捕まえていた



「助かったぞ、オーウェン」


「いやぁ、今のはかなり危なかったですよ?
 潮時です、あきらめましょう」


部下に促されてハルフォードたちは崖から離れることになった


ちょうどその頃あたりには黒い雲が覆い被ってきており吹雪の天候になりつつある


「引き上げるぞ!向こうの作業現場のほうにも伝えておけ!撤退だッ!」


2機のスノー・ディアスと地上の兵士たちが山を降りようとしたとき、ひとりの地上の兵士がハルフォードに通信を飛ばしてきた


「大佐?私は此処に残ります
 アレを放置するわけにはいきません」


「それはそうだが……、ムリをされても困る
 前線も人が足らんしな?
 あとで人を寄越す?
 それでいいか
 きさま名前は?」


「トラビスです、ご安心下さい、これでも諜報部隊出身です、アレが何であるかかろうじて知っております、他の者よりうってつけであります」


ハルフォードはコックピットから足元の兵士を見下ろしたが顔まではわからなかった


「わかった、トラビス!
 此処で待機せよ」


「はっ!」


行軍が始まって三十分、すでに山は白銀の世界に変わりつつあった……


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