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クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜

第11章 眠り姫


「な、なんだい!? キミはッ!」


アトキンスが慌てて立ち上がろうとする


すると女は彼を指差したかと思うと指先から細い光の筋を放ちアトキンスの右足を貫いた


女はとても小さなレイガンを持っていたのだ


「ぎゃっっ!!??」



アトキンスは思わず声を漏らして床に転げる


軍の厳しい訓練を受けたとは言え、寝起きに脚を撃たれては耐えることも出来ない


トラビスがカチャ!と引き金を引こうとしたとき女の口が開いた


「お前が動けば男を殺す」


女の声は見た目と異なりとても低かった


トラビスは見知らぬ少年兵をかばうつもりは無かったがここは引き下がるしかないと判断して銃口を床に落とす


「な、なんでボクを撃ったんだッ!?」


「我慢しろ、アトキンス!キミも兵士だろう?
 コイツは私の動きを封じるためにわざとキミを撃ったんだ、次は無いぞ?」


女はトラビスだけを見つめていたが銃口が降ろされたことでチラリとうずくまる少年兵を見下ろす


「その通りだ、お前のほうが無防備だと判断した、確実に殺せる状況だった」


女はわざわざ解説までしてくれたがそれはアトキンスにとってはあまり嬉しくない


経験不足、未熟者と言われたようなものだ


「動脈には当てていない、すぐに血は止まる
 お前たちが動かなければな?」


「こんな狭い場所で撃ち合うつもりはない、私も降ろしたんだ、お前も銃口を向けるな」


トラビスはあらためてアトキンスを仕留めるなと懇願する


「まずはお前たちの銃と脚のナイフを床に落とせ、話しはそれからだ」


女は無表情のまま指を床に向けて、武器をおろすようくいくいっとジェスチャーする


トラビスとアトキンスは仕方なく腰の銃、脚のナイフを床に落とすしかなかった


「よろしい、ところで私を目覚めさせたのはお前たちなのか? なぜ起こした? どうして此処がわかった? わたしたちは隠されていた筈だが?」


アトキンスは女が何を言っているか分からなかったがトラビスはこの状況を理解しているようだ


「起こしたわけではない、偶然だ
 近くの爆発で偶発的に掘り出されたんだよ
 誰も知らなかった」


トラビスの説明を聞いても、ふぅん?と怪訝な表情だ


「お前は“キアラ”だな?
 そして此処に埋められているのは“ムーンブレイド”だろう?」


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