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クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜

第3章 グリメット城


ラーズは両手にチキンを持ったままポカンとして動きを止めてしまった


「え? どういう事だい? まだモビルスーツに入れ替わった事が判明してないって事か??」


「そうね、今ならまだ貴方の機体盗難責任は免れそうね、時間の問題かもしれないけど?」


「〈ゾーナタ〉って北欧から来た増援部隊だぜ? 基地には寄港せず巨大な空中要塞で空を根城にしてる奴らじゃなかったか?
 そんなとこに居られちゃあ、機体を取り戻すなんてできないじゃないか?
 どっちにしても、俺は懲戒だよ」


ラーズは開き直って再びチキンにかぶりついた


「そうね、通常ならね」


アリッサは外の景色見るかのようにバルコニーに出る


ラーズも飲み物を片手にバルコニーへ出た


するとそこには巨大な飛行要塞が空を覆っていた

「うぉっ!?」な、なんだ、こりゃっ!?」


「私たちにも空の艦があるのよ!
 ようこそ、グリメット城へ!!」


それはグリメット家が擁する空戦旗艦「グリメット城」であった

イギリスの貴族、グリメット家の私設軍隊の母艦である
ガルダ級大型輸送船を見たのは初めてだ


「アンタら、ただの金持ちじゃないな?」


「連邦軍士官のラーズ君に言うのは気が引けるわね、私達は敵対勢力、企業連合側の人間よ
〈トランキュリティ軍属〉と言ったほうがわかりやすいかしら?」


「〈トランキュリティ〉? だったらトルコ側の〈ゼントリックス〉のお仲間じゃねぇかッ!?」



「〈トランキュリティ〉に横の連携は無いわ!
 現に私たちは彼らと戦う為にわざわざイギリスからやって来たのよ!」


ラーズは組織の政治的な争いまでは理解出来なかった
ただ、連邦軍とは異なる組織の集団の群れとしか認識していなかった

これはなかなか複雑な人たちと関わってしまったな、と困惑するばかりであった


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