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クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜

第3章 グリメット城


ラーズはその後 部屋を一室を与えられた
個室ではなく2人向けの居住空間だ
ルームメイトはマーティーと名乗る二十代の若いメカニックマンだ
ひとしきり部屋の説明や共同の浴室やトイレなどの説明を済ませ、ふたりは一緒に食堂へ向かった


食堂は明るいカフェテリアのような空間でとても輸送船の中とは思えない


「なんだ、てっきりこんな広い場所だからビュッフェでも用意されてるのかと思ったぜ」

「ははは、基地の中とは思えないだろ?ビュッフェにすると肉ばかり選んでしまうからな
 ここは女性陣が多いから」

見まわすと確かに女性兵がちらほら見かける

「僕も以前は地上基地に居てたんだけど女性兵は居ても人数が少なかった
 ここは女性陣が多すぎて男性は肩身が狭いんだよね」


「マーティーたちも大変そうだな
 貴族様たちは別室かい?」


ラーズの所属する地上部隊は食堂は上官とは場所が異なっていた


「いやいや、スティーブさんもアリッサさんも、娘たちもしょっちゅう食べに来るよ!
 でもあそこは娘の数が多いのはラーズ君も知ってるだろう?
 ちょうどいま訓練中だから空いてるので、みんなこの時間を狙ってやって来てるんだ
 彼女たちの訓練が終わったら此処が戦場みたいに騒がしくなるから!」

マーティーはセットになったトレイを受け取ると奥の席につき、ラーズもそれに続く
メニューは鶏のシチューでゴロゴロとした野菜が盛り沢山だ


「……何となく想像つくな
 訓練って何をやってるんだ?
 まさかあいつら全員パイロットとか言わねぇだろぅなぁ?」


「なに言ってんの?みんなパイロットさ!
 そんな事も知らずによくこの艦に乗り込んだね?彼女たちはとても優秀なパイロットだよ
 それも問題点かあっても共有が恐ろしく早いからすぐに改善されるんだ、すごいよ」


「なんだそりゃ?あいつら全員テレパシーでも出来るってのか?」


ラーズは固いパンを千切ってシチューにディップさせながら訊いた
噂ではニュータイプやら強化人間とやらはテレパシーで互いにやりとりしたり、念力で人を倒すなど摩訶不思議な噂が広まっていたのだ


「どうなんだろうね、訊いたことは無いけど本当にそんな感じだよ、思考が同じなんだろうから皆まで言わずとも理解しあえてる雰囲気だ」


ラーズはあまり信じ難かった

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