テキストサイズ

クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜

第4章 増援部隊ゾーナタ


ジョンが食堂を覗くと3つのグループが固まってミーティングをしていた


一番奥にいるのは艦長と作戦司令、そして数人の部隊長たち


“作戦会議ならブリーフィングルームでやればいいのに! こちらが気を遣ってゆっくり出来ないじゃないか”


ジョンは少し離れた所に集まっていたグループの近くに座った
そのグループは若いクルーばかりでおもに身の回りの設備などを担当するグループでジョンの仲の良い女性兵が混じっていた


ジェニファー・ブラウンはグループのミーティングを続けながらチラリとジョンを見たが何も反応せずミーティングを続けていた
だがジョンは彼女の美しい顔の眉間にシワが寄ったことを見逃さなかった

そんな嫌な顔するなよ、と言いたかったがジョンは彼女たちの近くに居座りながらも耳は艦長たちの会話を聞き逃さないようにしている


「リアリティ司令、それでは我々は当初の作戦通りというわけですね?」

確認を取っているのはベテラン艦長のマイケル・ホーンキストだ
彼がこのフェニックス級輸送船ゾーナタの艦長である


「ああ、マイケル!変更は無い、
 部隊は黒海上空を駐留して地上のブルガリアコートガード基地と連携する
 我々はあくまで増援部隊、主役は彼らだからね?3機の艦のうちこのゾーナタをまずは前線に出し、ゼントリックス軍に当ててみる
 残存する2機はそれ次第だな」

応えているのはヨハネス・リアリティ作戦司令
まだ二十代後半の彼がフェニックス級3機を擁する増援部隊を取りまとめていた


「問題は新たに宇宙から降りてきた未確認飛行物体ですな……、いったんゼントリックスに確保されてしまいましたが……
 そもそもアレが何なのか、あまりにも情報が無さ過ぎるので今回の作戦で何かしら得たいものですな」


マイケル・ホーンキスト艦長は歳下の作戦司令に丁寧な言葉で接している


「それは誰にもわからんよ、そもそもアクシズが落ちてくると言われて配備されたのだ
 アレがアクシズに関係したものなのか皆目見当がつかない、だがゼントリックスがすぐに手を伸ばしてきたのだから彼らはアレが何か知っているようだ
 是非あちらのハルフォード提督に聞いてみたいものだね」


若いヨハネス司令は深い溜め息をついた


ストーリーメニュー

TOPTOPへ