テキストサイズ

クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜

第4章 増援部隊ゾーナタ


飛び降りるように階段を下って最下層の格納庫へ向かうと老整備士のニルスチーフと出会った


「よぉ、ジョン?どうした
 あぁ、嬢ちゃんを迎えに来たのか?
 いまマティアスがモビルスーツまで連れて行ってたぞ?」


ニルスが奥の方に視線を送ったのでジョンは慌てて駆け出した


一番奥の方にモビルスーツ、ジムⅢが見える

そして女の子に膝蹴りをされて倒れようとする若い整備士の姿が見えた


「誰かッ! 止めてくれッ!?」


ニルスも何事だ?と奥を見つめる


ジョンは全力疾走でタラップを駆け抜ける


女の子はすでにモビルスーツのコックピットの中に入り込んでしまった


「間に合わないッ!」


搭乗口のタラップが自動的に動いてモビルスーツの前から離れていく


ジョンは一か八か助走をつけたまま大きくジャンプしてコックピットハッチへ辿り着こうとしたが足は届かず、かろうじて指先だけで引っかかりぶら下がった状態になってしまう


足場を探そうともがくが残念ながら宙を蹴るばかりだ


何とか指先だけで必死にしがみつき、腕だけでコックピットハッチまであがろうとしたとき、モビルスーツの機体はシュイーンと駆動音を大きくさせていた


まわりの整備士たちが集まってくる



「モビルスーツが動いてるぞ!」


「おい、ぶら下がってるのは誰だ!危ないぞ」


「おい、まだケーブルが繋がったままなんたぞッ!?わかってるのか??」


格納庫がざわつき始めたとき咄嗟にニルスは壁面の非常ボタンを押すと格納庫内にけたたましいブザーが鳴り響いた


ジョンが上半身だけを何とか乗り切ったところでゆっくりモビルスーツが動き始めた


「おおい! 止まれッ!!」


大声を出したジョンだが非常ベルの音でかき消されすぐそばのコックピット内にまで声は届いていなかった


モビルスーツはゆっくりと片足を上げると勢いよく前方の床を踏み出し始めた


慣れていないのか、ドーン!と勢いよく床を踏みつけるものだから整備士たちの身体が浮いて勢いよく倒れていった


「なんだよ、素人の操縦じゃないかッ!」


ジョンは何とか這い上がろうとするが揺れる機体の上では思うように踏ん張れなかった


モビルスーツはフラフラしながら格納庫を歩いていった……


ストーリーメニュー

TOPTOPへ