
クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜
第4章 増援部隊ゾーナタ
格納庫は緊急ブザーが鳴り響き、整備士たちが右往左往して走り回っている
格納庫に隣接されているパイロットルームからはなんだかんだ、と顔を覗かせてくる
壁のパトライトがくるくる回り、
スピーカーからは誰かの叫び声が飛び交っている
動き出したモビルスーツの前にはその足取りを止めようとしてか人間の壁を作っていたが踏みつけられそうになると大慌てで散り散りとなっていく
ズシーン、ズシーンと大股に動くモビルスーツから何とか振り落とされないように上半身だけでしがみついていたジョンはようやく腰まで上げきる事が出来た
女の子はモビルスーツの操縦に不慣れなのか、コックピットハッチを閉じようともしなかった事がジョンにとっては幸運だ
女の子はようやくゼェゼェと息を切らせてハッチに寝そべっていたジョンを見つけた
「あれ? 人が居たの?」
「バ……バカッ!
何やっ てんだッ!
と
とまれ!!」
肩で息をしながらようやくジョンが立ち上がると少女は振り落とそうと足のペダルを思いっきり踏み込んでモビルスーツの背中と足裏のバーニアを噴かせ格納庫内で飛び出そうとしてきた
「うぉぉぉぉッッッ!!??」
ジョンは落とされないようにコックピットの縁に必死にしがみつく
「止まれってばッ!!」
少女はそのまま格納庫後部のカタパルトの方から脱出しようとしているのだ
一瞬、スラスターが詰まったようにパワーダウンした瞬間にジョンはくるりと身を反らせてコックピットの中に突進した
投げこまれたような勢いでコックピットに入ってきたジョンの身体はそのまま少女の身体に激突して意識を失ってしまった
だらりと身を投げだす少女を押しのけてジョンが手元のハンドルを引き上げ、すべてのスイッチをオフにしていった
こうしてようやくモビルスーツは格納庫の搭乗口付近で止まったのだった
