
クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜
第5章 ハルフォード提督と5人の将軍
ジェフリー副長からの報告を受けすぐさま現場に到着した隊長オーロラは目の前に浮かぶ巨大な未知の飛行物体を見て初見ながらに“こいつが例のアレか”とすぐにわかった
将軍に抜擢され提督の前に5人の将軍が招集されたとき、提督はおかしなことを言っていた
“いつか、どこかに、見たこともない兵器が現れる、我々はそれを確保するのが本当の目的なのだ”
年老いた提督が何を語っているのかオーロラには理解し得なかったが、おそらくこの奇妙な侵入者が例のアレなのだろう
提督はそれを“カタストロフィー”〈崩壊する者〉と呼んでいた
宇宙戦艦でもなく、モビルアーマーやモビルスーツなどではなく〈カタストロフィー〉という別個の存在なのだそうだ
彼がどこからそのような情報を得ていたのか、誰もわからなかったが他の将軍は以前から聞かされていたらしく黙って聞いていた
将軍たちのみに聞かされていた〈カタストロフィー〉、それが本当に現れたのだ
「応答は一切ありません、動きも反応も何も無くただ領空に浮かんているだけです
オーロラ、どうしますか?」
ジェフリーの問いかけにオーロラはなにも返さず新型機〈クラング・サッドウィング〉から機雷をバラ撒き始めた
「オーロラ?」
ジェフリーは突然上官が攻撃を始めてしまったので驚いた
「ジェフリー、高画質で記録しろ」
オーロラからの指示で飛翔物の周りをゆっくり旋回しながら撮影をする
機雷は爆発を起こしたが、さすがにこれだけの巨大な物体が小さな機雷ごときで被害を受けるはずもなさそうだ
数回の機雷の爆発が終わったが、飛翔物が反撃をしてくるわけもなく依然空中に浮いているだけであった
「ジェフリー、爆発の瞬間をスローで確認してみろ」
言われるがままリピート再生してみると機雷は対象物に触れる前に爆発しているように思えた
「オーロラ、対象物の周りになにかバリアのようなものがあるようです
機雷は表面に触れることすらできていませんね、ビームコーティングのような微弱なエネルギーか何かでしょうか?」
どうやら強引に確保することもできなさそうであった
