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クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜

第5章 ハルフォード提督と5人の将軍


格納庫に戻るとオーロラ・ニーシュラは数人のスタッフに囲まれて、何枚かの書類にサインをしていった

ジェフリーが近づいてきた事に気がつくと

「事務的な書類は今度キミのところで承認させるからな」と面倒くさそうに言った


「わかってますよ、それより呼ばれたそうですが?」


「ああ、ここはもういいから私と一緒に立ち会って欲しい、ヘリで移動しよう」


「え? ここはいいんですか!?
 アイツは? あの上空を占有してるヤツは?」


「あとは調査チームに任せよう
 彼らはハード面を、我々はソフト面のほうに向かう」


「ハード? ソフト?」


「いいから行くぞ、部下には12時間の休息を取らせておいてくれ!我々はすぐに此処を出るぞ」


「着替えもなしで?パイロットスーツのままですか??」


「ああ、そうだ!3分後にヘリポートに集合だ、部下に指示だけしてすぐに来い!」


オーロラ・ニーシュラは金髪の髪をなびかせて格納庫から出ていってしまった


「部下は半休で、俺は残業かよ」


ジェフリーはぶつぶつ文句を言いながら格納庫の横にあるパイロットたちの待機所へ向かった


溜まっていた部下たちに半休の指示を出したあと慌てて外のヘリポートへ向かう


すでにヘリの中にはオーロラが乗り込んでいた

ジェフリーがシートに座るとヘリはすぐさま離陸した


「どこに向かうのですか?」

「イズミットだ、そこに海軍基地がある
 私の出身なんだ
 バルキシェフの基地は手狭だろ?
 新しい基盤を作るよう提督に言われていたので昔から馴染みのある場所を選んだんだ」


「イズミットに〈サッドウィング隊〉の駐留基地を作るのですか?」


「離れているように思えるが航空部隊ならバルキシェフからほんの僅かな距離だよ
 それにイズミットはマルマラ海につながってるだろう? ボスポラス海峡にもダーダネルス海峡にもアクセス出来るから非正規なものを持ち込むのも便利なんだ」


「非正規なものって…、そんなもの必要なのですか?」


「持ち込むだけじゃない、検閲して差し押さえることも出来る、隠し事にはもってこいの場所なんだよ」


オーロラ・ニーシュラはニヤリと笑った


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