クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜
第5章 ハルフォード提督と5人の将軍
ふたりは最下層の研究ラボからエレベーターに乗り込み中層のブロックまで戻ってきた
「このフロアに私のオフィスとプライベートルームがある、ジェフリーの部屋や部隊チームの部屋はまだすぐに使える状態じゃないんだ
一緒についてきて」
「わかりました、ところであの子供は何なのですか?研究チームの託児所ってことはないですよね?」
ふたりはまだキレイな廊下を歩いて奥の部屋に入った
どうやら将軍としてのオフィスのようだ
シンプルな部屋にはゼントリックス軍の軍章が壁に飾られている
さらに奥の扉をあけるとまるでホテルのスィートルームのような絨毯張りの広い部屋になっていた
調度品が飾られ、透明なテーブルの上にはフルーツが盛られている
「こっちよ」
オーロラはさらに奥の扉を開き隣の部屋に案内される
隣の部屋には先程持ち込まれたかのようなクリーニングされた洋服、またテーブルの上には様々な書類が並べられていた
オーロラは書類に軽く目を通して優先順位を推し量っているようだ
そしてビニールに入れられた服を適当に触っていく
「このあたりの物がジェフリーの物よ、肌着もひと通り用意してあるわ、シャワールームは向こうの奥、ようやくパイロットスーツが脱げるわね
私は書類に目を通すからお先にどうぞ」
「はっ!では失礼します」
ジェフリーは荷物を受け取ると敬礼して退室した
ジェフリーはようやくひとりの時間になれたと内心ほっとした
出撃したままのパイロットスーツ姿も不快ではあったが、それよりも見知らぬ上官と長時間移動してきたことのほうが苦痛であった
熱いシャワーはありがたかった
なんせバルキシェフの基地では熱い湯が出るのは稀てあったので“やっぱり新設の基地は気持ちがいいな”と思った
着替えはよくある無地のTシャツにパリッとした迷彩のズボン、シャワーの後の新しい服はとても気持ちが良かった
すると部屋にオーロラが服を抱えてやって来た
「さっきの部屋にジェフリー宛の書類があるから確認して署名しておいて、その間にわたしもシャワーを使うわ」
「了解しました」
ジェフリーは隣の部屋に戻り、いくつものファイルを開き、電子署名を繰り返していく
30分ほどするとオーロラが戻ってきた
オーロラはバスタオルを巻いただけの姿で入ってきた