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クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜

第6章 接触


少女はラーズの前に立ちはだかるように彼を見据えた


「何も知らないで余計な事を言わないで!
 お父さまが心を痛めていることも知らないで!
 私たちは自分の意志で飛んでいるのよ!
 姉妹たちを探すために!」


少女は啖呵を切ってそのまま向こうへ歩いてしまった


スティーブはラーズの肩をポンポンと叩いて彼を慰めた


「何だか俺は嫌われちまってるらしい」


「ごめんよ、うちの娘たちはみんなファザコン気味なんだよ」


「まぁ、アンタたち家族の問題を外野の俺がゴチャゴチャ言うこっちゃないわな」


「だからキミとペアを組ませてみたんだけどね、色んな人と関わりを持たせたかったんだけど、裏目に出たみたいだ」


ふたりは溜め息をつきながら格納庫を後にした


ラーズがシャワーから出てきたところで、ひとりの少女が通路に座り込んでラーズを待ち構えていた


さっきまで同乗していた彼を蹴り上げた少女だ


赤い髪の毛を後ろに縛って、白いワンピースをまとっていた


「お、何だよ?」


「……さっきは言いすぎたわ、私たちを思って言ってくれたのでしょ、ごめんなさい」


赤髮の少女はそれだけを告げると通路の向こうに立ち去ってしまった


「なんだ、えらくしおらしいじゃねぇか!」


その様子を見ていた整備兵のマーシャがラーズに声をかけてきた


「あの子たちもスティーブ様もアリッサ様も、家族総出で“ロスト・チャイルド”を探しているのよ、決して軽々しく子供を戦場に送り出してるわけじゃないわ、おわかり?」


マーシャもスティーブがやったようにラーズの肩をポンポンと叩いて歩いていった


「そりゃそうなんだろうけどよ…、俺には簡単に納得出来ねえよ」


ラーズは自分の気持ちをうまく消化できないのだった


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