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クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜

第6章 接触


数時間後、新型機〈ビーネンシュトック〉に乗り込んだスティーブ・グリメット司令官と連邦軍の一パイロットであるラーズ・ローズの奇妙なコンビの2人は連邦増援部隊〈ゾーナタ〉に向かって飛行していた


「アンタは偉いサンの割にパイロットも整備士
もやるんだな?」


「ははは!貴族といっても成り上がりの田舎者だからね!もともとフリューゲルシリーズのパイロットで戦場を飛んでたよ!
 今も娘たちと共に戦場に向かうんだよ!
 妻は嫌がるけどね

 ところでうちの娘が失礼なことを言ったね、謝るよ」


「おおお、俺みたいな只のパイロットにアンタが謝らないでくれよ!こっちが恐縮しちまう」


「ボクはね、ラーズ君が苛立つ気持ちが嬉しいよ!世界中のバカなオトナたちは小さな子供を当たり前のように戦地へ出させるからね!
 特にうちの娘たちは特殊なクローン兵だからね、酷いことだよ
 酷いことを酷いと思えるラーズ君が手伝ってくれて本当にボクは嬉しいんだ!」


「わかった!わかったから落ち着いてくれ!」



ラーズは前の席に座るスティーブがあまりにも気さくな青年なので困惑してしまう


“うちの地上基地の司令官なんて太ったハゲ親父なんだぜ?それになんだよ、このリラックスしたやさ男は?まるで昔から隣に住んでいた幼馴染の兄ちゃんのようだぜ、まったく”


だが、この気さくさがあの母艦〈グリメット城〉で働くクルーたちがのびのび働いている所以なのだろう、と思った


「ところで、なんでわざわざ新型機に乗って敵対する連邦軍へ出向くんだよ?
 普通はトップ・シークレット扱いなんじゃないのか?」


「ええ!?せっかく新しい玩具が手に入ったんだ!早く使いたいじゃないか?」


スティーブの答えがあまりにも子供っぽいものだったのでラーズは呆れて何も言えなくなってしまった


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